ダウン症の子供におすすめしたい靴の選び方
ダウン症の症状には個人差はあると思うのですが、足にもダウン症特有の特徴がでているのはご存じでしょうか。
全ての関節や靭帯が緩く、足元では足部関節・膝関節・股間節なども緩く立位・歩行する際、安定性を保ち難いお子さんが多いようです。
目次
ダウン症のお子様に多く見られる歩き方
街を歩いているとダウン症のお子様を見かけると、仕事癖でしょうか、先ず、歩く姿勢に目がいってしまいます。 両膝が内側に倒れ、内側の膝と膝が接触しながら歩行しているいわゆるX脚の状態で歩いている。 足もとに目を向けると内側の踝が地面に着いちゃうんじゃないかと心配するほどにアーチが潰れて(落ちて)しまっている。 一歩一歩を確かめるように、ストライドが狭く歩行動作がゆっくりした状態での歩行。等、様々な特徴を目にします。
もちろん、皆さんそれぞれ個人差はあるのですが、ダウン症のお子さんの多くは足首の関節が柔らかく、踵骨も比較的細く(小さく)、比較的へん平足や外反へん平足のお子様が多く立位・歩行が不安定になっているのです。 少し歩くだけですぐ疲れてしまいますし、酷いと痛みを感じることもあるのです。
靴と足底板で立位・歩行姿勢は改善できる
立位・歩行姿勢の改善をするには、靴で足下(あしもと)を補正する方法と、足底板で補正することで改善できます。
靴で足元を補正する
当り前のことですが靴は歩く道具です。また、足もとを補正する道具でもあります。
立位や歩行が不安定なお子様には、足首まで補正が出来るハイカットシューズがお薦めです。
ハイカットシューズでも市場には沢山売っております。 デザインを優先する靴もあれば、アスリートが使用する様なバスケットシューズなど色々です。 アスリートが使用するバスケットシューズ等は、靴の中で踵骨が安定した状態で保てるよう踵芯材が強くて大人の方が指で押しても潰れない様になっており非常に足の補正に適した靴と言えます。 ただ、毎日の生活に使用するには難しさもあります。
それは、アスリートが使用するバスケットシューズの殆どは紐靴なので脱ぎ履きが面倒です。 また、靴紐を緩めたり締めたりすることが小さなお子さんにとってはもっともっと面倒で大変です。
実際、靴紐を緩めたり締めたりする靴を現代っ子達は履きません。紐靴でも伸縮性のあるゴム紐の靴が多く売れているようです。伸縮性のあるゴム紐の靴が良いか悪いかは別としても、ダウン症のお子様に限らず、外反へん平足のお子さんにとっては少なからず良い靴とは言い難いですね。
更に、ハイカットシューズになると脱ぎずらい、履きずらい、も加わって面倒くさくて嫌だ!ってお子さんからは敬遠されてしまいます。 ハイカットシューズが足下(あしもと)の補正に非常に良いと思っても、中々進め難いですね。 そんな悩みを解決できる補正用ハイカットシューズもございます。
小さなお子様一人でも履ける様に、指付け根→甲部→足首を紐で固定するのでは無く、ベルト仕様にして足下を固定できます。 ベルト仕様にすることでハイカットシューズ特有の脱ぎずらい、履きずらいところは、履き口部分が指付け根位置まで大きく開いて脱ぎ履きがとても簡単です。
足底板で足元を補正する
足部関節・膝関節・股間節などが緩いお子様にはハイカットシューズを使用するだけでも立位・歩行姿勢が改善されると思われますが、靴だけで身体全体を支え補正することは難しく、特に、外反へん平足や足に変形がみられるお子様には足底板(特殊インソール)で足下(あしもと)から補正することによって、身体全体のバランス感覚を保てて、立位・歩行姿勢などの改善も図れて安定した状態で歩行が望めます。
足底板は、お子さんの足を採型して、潰れてしまったアーチを補うために作ります。 アーチは主に、内側縦アーチ(土踏まず)・外側アーチ(小指付け根から踵位置)・横アーチ(親指付け根から小指付け根位置)・踵アーチの4カ所ございます。
ダウン症のお子様に比較的多く見られる外反へん平足の場合では、内側縦アーチが潰れて踵骨が外側に向いて内側に倒れる状態を足底板で補正(矯正)すると、足下(あしもと)の安定と内側に倒れる事で生じる痛みも和らぎます。 足底板は外反へん平の足もとの安定と補正に非常に効果があると分かった方でも。買うのを躊躇してしまいます。
殆どの方は、高い輸入靴よりも、それ以上に中敷きが高いの?って、驚かれるぐらい高価な品物です。
今は、シューズショップでもアーチを補正するインソールがリーズナブルな価格で結構沢山売られておりますので徐々に足底板の効果が一般の方に理解して頂ける様になって来てはいますが、まだまだ知名度的には、靴より高い中敷きなんて理解できん!って仰る方も多いです。 理解できない高価な品物を足の成長が早いお子さんに、足が大きくなって靴を買い替えと同時に一緒に買い替えるのは大変な出費で誰でも躊躇います。 保険で作る方法もございますが、医師の診療を受ける必要がございます。
診療を受ければ足底板が保険で作れるとは限りません。ましてや外反へん平足だけでの診療では殆どは、「少し、歩けるようだから様子をみましょう。」で、終わってしまい保険の適用は中々高いハードルです。 因みに、厚生省で表示される価格は35000円から40000円前後になります。また、保険の適用ができない一般の靴ショップでも同じぐらいか、それ以上の金額を要求されます。
ハイカットシューズには一般靴と整形靴の違い
ハイカットシューズには、ファッション性を重視した一般の靴と、補正(矯正)を重視した整形靴があります。
ファッション性を優先する一般靴
一般の靴ショップや通信販売でお求め頂くお子さんのハイカットシューズはファッション性を優先した靴が
多く、非常に可愛らしくデザインされています。
デザインは靴紐になっていても、小さいお子さんが履き易いように紐は飾りで内側踝周辺にジッパーを取り付け、上げ下げするだけで脱ぎ履きが簡単に行えるようデザインされている靴を多く見ます。また、非常に軽量化されてもいます。 可愛らしく軽いハイカットシューズを沢山見てきましたが、色や素材等は、天然皮革材や人工皮革材(合成皮革材)等では可愛らしい色や絵柄などのプリントも難しいため、良く使われる素材はキャンバス地などの布地が多いですね。 布素材の特徴として靴内部に補強材などが使えない為、その分、靴自体が柔らかくて軽い靴になります。
残念ですが同じハイカットシューズでもお子さんの足の補正には決して良いとは言えません。
足の補正を優先する整形靴の場合
整形靴+ドイツ靴+高価と連想されるか方も多いとおもいます。
整形靴は、ファッションを優先した靴とは異なり、靴自体がしっかりしております。 安全靴を履くようなイメージですね。
安全靴は一般の市場や通販で買えますが、整形靴は少し特殊です。
整形靴は主にドイツ製(輸入靴)が多く、金額も非常に高価で3万円以上する品物が多く、成長期のお子様にポンポン買い替える訳にはいきませんので殆どが医師の診断を受けて許可されて方だけが保険で買われた時期もございました。 保険(※保険には色々種類がございますのでここでは全てを含め保険とします。)をお持ちでも、全てのダウン症のお子様が適応される訳ではありません。
また、保険をお使いになると対応年数がありますので足のサイズが大きく成ったので新調したいと相談しても直ぐに買い替えることが叶わず、結局は実費で買う事になります。
整形靴の代用品で使うアスリートシューズ
高額な整形靴を買わなくても、一般のショップや通販で売られているアスリートが使用するバスケットシューズ等のハイカットシューズを代用することができます。 ただ、殆どが紐靴です。 小さいお子さんにとっては脱ぎ履きがとても面倒な為、業者にお願いして紐の部分をベルトに取り換えて改良を施します。 ダウン症のお子様以外でも、下肢に障がいをお持ちのお子さんや外反へん平足のお子さんの中にはハイカットシューズの紐靴をベルトに改良して履いております。 残念なことにアスリートなどが履く踵芯材がしっかりしたバスケットシューズには小さなお子さんのサイズが殆ど売っていなくて仕方なく高額な輸入靴を購入する方もいます。
現在に至っては成長期のお子様の足と家庭の負担なども考慮し、国内・外のスポーツブランドの子供用の小さいサイズで比較的踵芯材がしっかりしたハイカットシューズを整形靴として代用を薦めるドクターや理学療法士の先生も多くいます。 国内・外のスポーツブランド靴に足底板を入れて使用することで費用対効果を考えると家庭の負担も少しは軽減されると思います。
不特定多数の足にフィット
国内・外のスポーツブランド靴はあくまでも不特定多数のお客様向けに開発されておりますので、足の特徴に関わらず誰でも履ける様、踵から足首範囲は余裕を設けて比較的広く作ります。
他方、ダウン症や身体に障がいをお持ちのお子様の足の踵骨から足首は比較的細いお子様が多く、履いた時、踵幅・足首周辺が広い(大きい)と足首まで覆うハイカットシューズでも、歩行の際靴内部で足が安定せずに遊ぶ(動く)可能性は十分考えられます。 また、靴のサイズは指先が当たらないよう実寸サイズに比べ、余裕を設けて履きますので、細身の足のお子さんにとっては尚更ぶかぶか状態になります。
不特定少数の足にフィット
今は、高額な輸入靴に頼らず、アスリート用のバスケットシューズ等の紐靴をベルトに改良する事も徐々減っております。 その理由は、生まれつき足が細身で補正が必要なお子さん、身体に障がいを持ったお子さんなど、不特定少数のお子さんの特徴に合わせ履き口部分が比較的細身のハイカットシューズが、デザインや機能性にも優れた補正用ハイカットシューズがリーズナブルな価格でネットより販売されております。
ダウン症のお子さんに裾野が広がる大きな一歩に
国際知的障がい者スポーツ連盟は昨年(2019年)10月、オーストラリアのブリスベンで陸上国際大会が行われましたが、新たにダウン症の部が新設されました。
日本でも、国内初となるダウン症の部で男女100メートル競技が宮崎県で行われました。 恐らく、選手の中には外反へん平足の選手も含まれていると思われます。 また、スポーツでプロ・アマに関わらず、アスリート選手たちの中には外反へん平足のアスリートは沢山います。 その殆どの選手が自分の足を補うために特殊なインソールを使って毎日練習に励んでます。
最初は、歩く、走る速度が遅くとも、先ずは足もとを靴とインソールでちゃんと補正した状態で一歩一歩進んでみませんか。 歩けることで、走れることで、ご自身やご家族の方の『心』と『体』の健康に大きな一歩になりますよ。